タニシの生態
南米・南極を除いた大陸とその周辺の淡水に棲息しており、数cmの黒っぽく見える殻を持つものが多い。特筆すべきはその摂食法の幅の広さで、物の表面に着生した藻類などを削り取って食べる刈り取り食者(グレイザー)であり、水底の沈殿物を食べるデトリタス食者でもあり、さらには水中の懸濁物を鰓で集めて食べる濾過摂食者でもある。このため、大きな状況変化がある中でも生き延びることでき、例えば水田のような環境が変化しやすい小規模な水域に大型種が生息することが可能となっている。
アジアには特に種類が多く、タニシと人とを近づける稲作文化と相俟って、食用を主とした人との関わりが生まれた。日本でも「ツブ」や「田つぶ」、あるいは「田んぼのサザエ」という呼び方で食用にされる。ただし他の淡水動物同様、寄生虫の宿主ともなるので食用には十分に熱することが肝要である。日本にはマルタニシ、オオタニシ、ナガタニシ、ヒメタニシの4種がおり、日本全国の水田、用水路、池などに分布するが、分布域は種類によって多少異なり、ナガタニシは琵琶湖だけに棲息する固有種である。またオオタニシとマルタニシは北米に人為的に移入され、各地で繁殖し問題となっている。これらは19世紀末に日本人労働者らが食用として持ち込んだものが拡がったと言われる。
科名はヨーロッパに分布する Viviparus 属から名づけられたが、この属名は胎生(vivipara)を意味し、その名のとおりタニシ科の全ての種が卵胎生で、かなり成長した仔貝を産む。また、異型精子を持つことでもよく知られ、手塚治虫の医学博士の学位論文がタニシの『異形精子細胞における膜構造の電子顕微鏡的研究』であったことも一部では有名である。
殻高は1cm~8cm程度であるが、5cm以下の種が多い。殻は全ての種が右巻きで、多少なりとも高まった螺層を持っている。ほとんどの種の殻本体は白色~淡褐色であるが、その表面は暗緑色~暗褐色の厚い殻皮に覆われており、さらに藻類や酸化物などが付着しているため、大抵は黒く見える。他の淡水貝類と同様、派手な斑紋を持つものは少なく、褐色の螺旋状の縞模様をもつ種が見られる程度である。殻の表面は平滑か弱い螺肋があるものが多く、目立つ突起などは中国のコブタニシやフィリピンのトゲタニシといったごく一部の種に見られるのみである。足の後部背面には褐色のキチン質の蓋があり、殻口をぴったり塞ぐことができる。蓋は殻口と同形の滴型で、核は中央付近にあり、同心円状に成長する。蓋を閉めるときに殻内の空気が隙間から漏れ出して「チュ~」という音がすることがある。
軟体 頭部にはよく発達した1対の触角があり、その根元付近の外側に目がある。オスの右触角は先端まで輸精管が通じており、陰茎としても用いられる。このため多少なりとも変形しており、Viviparinae 亜科や Lioplacinae 亜科では正常な左触角より短くて先端が太く終わっており 、Bellamyinae 亜科では左触角より長く顕著にカールしている。したがって右触角を見れば雌雄の判別ができる。古くから複数種の異型精子の存在知られており、その機能については正常精子の運搬用、栄養体、あるいは他個体の精子への攻撃用などの諸説がある。雌は交尾によって体内受精し、卵が子貝になるまで体内で保護する卵胎生で、十分育った稚貝を数個から十数個産み出す。種類によっても異なるが、子貝は4mm-1cm程度で体の基本的な構造は親貝と同じであるが、殻の巻き数が少なく、殻皮が変化した毛をもつことが多い。この毛は親貝ではほとんど失われている。
『ウィキペディア(Wikipedia)』引用
雌雄異体の卵胎生という特殊な生態をしています。
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